セントラルキッチン
金森会 様
熊本の地で地域医療を支え続けてきた金森会様は、1909年(明治42年)に創業。以来、一世紀以上の長きにわたり「地域のかかりつけ医」として、宇土市で最も身近な医療の相談窓口、そして、住民の方にとっての「心の拠り所」となっています。「かなもり地域ケアクリニック」による医療提供と、介護老人保健施設「あさひコート」を中心とした介護サービス、訪問看護やケアプラン作成、デイサービスまでを包括的に展開しています。単なる長期療養ではなく、「住み慣れた地域で、自分らしく暮らし続けること」に主眼を置いています。伝統を誇りながらも先進的な視点を持つ金森会様が、次に目を向けたのが、食の自社運営セントラルキッチンでした。導入したきっかけや今後の展望などお話を伺いました。
委託か直営か。揺れ動く中で見えた「食」の危機感

常務理事 金森様

給食部門として株式会社熊本給食サービスを設立

セントラルキッチンにて一括調理を行う
― クリニックから介護老人保健施設、在宅支援まで幅広く展開している金森会様ですが、なぜセントラルキッチンを導入しようと決めたのでしょうか?
金森常務:運営において長年の課題となっていたのが「給食運営」でした。かつては直営で運営していましたが、コスト削減と業務効率化を狙い、委託会社へ運営を外部委託しました。導入当初は経費が抑えられ質も向上したのですが、物価の値上げ等も重なってきました。これからも長く経営していくにあたって健全化させるためには、もう一度自分たちの手で食を作るのがいいのではと決意し、一度直営に戻すという大きな決断を下しました。しかし、加速する労働人口の減少と賃金水準の上昇という、地方が直面する厳しい現実でした。特に早朝・深夜勤務のスタッフ確保が困難になる未来を見据え、導き出した答えが、自社運営のセントラルキッチンの構築でした。
完全週休2日。労働環境を改善

セントラルキッチンで作られた冷凍お弁当「すまーとみーる御膳」


― 業界の中でも自社運営のセントラルキッチンを運営するというのは、とても画期的だったかと思います。導入すると決めた際は現場の方からどのような声があったのでしょうか?
金森常務:導入にあたって、現場からは「冷凍のお弁当で本当に美味しいのか?」という懸念の声が上がりました。実際に他施設での冷凍給食をスタッフと共に試食しました。最新の急速冷凍技術による味の再現性の高さを肌で感じてもらうことで、心理的なハードルを一つひとつ取り除いていきました。また、従業員たちには、これからの地方が直面する深刻な人手不足やこれからの働き方など丁寧に説明を重ねたことで、導入前の不安も払拭しました。
― セントラルキッチンの導入したことで、どのような変化がありましたか?
金森常務:セントラルキッチン稼働後、各施設の厨房業務は劇的に変化しました。まずは労働環境の改善です。各施設の厨房スタッフは過酷なシフトから解放され、セントラルキッチンで働くスタッフは完全週休2日・固定時間勤務という安定した環境を手に入れました。早朝勤務や夜間勤務がなくなり、スタッフからはとても働きやすくなったと嬉しい声をいただいています。その他にも、私たちが大切にしている「熊本の味」を守るという食へのこだわりも。セントラルキッチンを持っていることで、地元の甘めの醤油や出汁を活かした「慣れ親しんだ郷土の味」を維持しています。利用者様からも高い評価を得ています。

施設側での調理負担を解消

再加熱して提供
地元の「味」、地元の「雇用」を守り、持続可能な給食運営へ転換

― 今後の展望について教えてください。
金森常務: 現在、私たちの法人が自前で食事を提供できているからといって、クックサーブのままでは、5年後、10年後も同じ体制が維持できる保証はどこにもありませんでした。少子高齢化が進む中、特に地方では早朝から深夜まで厨房を支える人材の確保は年々困難を極めています。海外人材の活用も一つの手段ではありますが、それだけで全てを賄えるほど甘い状況ではないという強い不安が常にありました。だからこそ、まだ体力がある今のうちに、持続可能な仕組みへと舵を切る必要があったのです。セントラルキッチンへの投資は、単なるコスト削減のためではありません。当法人が100年続けてきた地域医療を絶やさぬよう、未来への一歩です。これが結果としてスタッフの心に余裕を生み、利用者様へ還元される食の喜びに繋がると確信しています。

熊本給食サービスのスタッフの皆様

[取材日] 2026年2月
100年の歴史を持つ伝統的な医療法人様が最新のセントラルキッチンを導入したことは、単なる合理化ではなく地域を医療の食を持続させる決断でした。人口減少という避けられない未来に対し、今一歩を踏み出す勇気が、次の100年も地域に美味しい笑顔を届け続けるための鍵となるはずです。AIHOはこれからも、金森会様が紡いできた地域医療を食の面から支え続け、共に歩んでまいります。