炊飯
株式会社永田パン 様
熊本県熊本市北区にある「株式会社永田パン」様は、1952年に製パン工場として創業しました。1977年からは学校給食の炊飯部門を開始し、現在では熊本市内の小中学校約80%以上に米飯を提供されています。1年ほど前、ライスフレンドスーパー全自動炊飯システムに更新。更新したきっかけや更新後の効果、今後の展望について、代表取締役 永田昭一様、専務取締役 永田義博様にお話を伺いました。
熊本市内の小中学校80%以上の米飯を担当

専務取締役 永田義博様

代表取締役 永田昭一様
― 製パン工場からスタートし、米飯製造を始められたきっかけや当時の想いについて教えてください。
代表取締役 永田昭一様:弊社は1952年に創業し、学校給食向けのパン製造に力を入れていました。もともと学校給食はパンのみでしたが、1971年頃に政府の方針で米飯の導入が打ち出されました。製パンから米飯製造に切り替えるには大きな設備投資が必要なため、周辺の製パン工場は米飯給食の製造を開始しませんでした。きっと、このまま製パンを続けたほうが良いと判断したのでしょう。 しかし私たちは「米飯給食の製造も行わなければ会社の将来はない」と考え、1977年に米飯給食の製造を開始しました。当時、熊本市内の炊飯工場は弊社と、6社で運営する共同炊飯工場の2つありましたが、共同工場は6社の意見調整等が難しく、やがて撤退。その後は弊社がその分も担うこととなりました。現在では熊本市内の小中学校の約80%以上に米飯を提供しており、1日の食数は3万〜4万5千食にのぼります。
お米がふっくらとした食感に!省力・省人化にもつながった

ライスフレンドスーパー 全自動炊飯システム
― 熊本市内ほとんどの小中学校の米飯を製造されていると伺い、とても驚きました。昨年、ライスフレンドスーパーを導入された決め手を教えてください。
代表取締役 永田昭一様:1977年に米飯製造を始めて以来、弊社では炊飯方法の研究を重ねてきました。当初は別のメーカーの機器を使用していましたが、水が沸騰するまでに時間がかかるのが課題でした。そんな時にAIHOさんと出会い、加熱スピードと炊き上がったご飯の美味しさに魅力を感じ、約20年前にライスフレンドベーシック全自動炊飯システムを導入しました。 当時としては大きな投資でしたが、省力・省人化につながり、導入の判断は正しかったと確信しています。その後年月が経ち、炊飯システムも老朽化が見えてきたため、2024年に、AIHOさんのライスフレンドスーパー全自動炊飯システムに更新しました。以前の機器も稼働可能でしたが、私たちは熊本市内の小中学校給食を一手に担う立場として、事故防止と将来への備えを重視し、安全・安心な供給体制を整えました。
専務取締役 永田義博様:ライスフレンドスーパーに更新する約3年前には、AIHOさんと一緒に本社工場で見学・研究を行いました。実際の稼働状況や、炊き上がったご飯の味わいまでしっかり確認できたことが良かったです。
― ライスフレンドスーパー全自動炊飯システムに更新していかがでしたか?
代表取締役 永田昭一様:システム更新後は、炊飯品質が向上し、食感や粒立ち、火力が格段に良くなりました。かまど炊きを再現したような、質の高いご飯を安定生産可能になりました。 さらに、全自動システムにより、従来は作業員が個別操作していた工程も、最初のボタンひとつで全てのシステムが稼働するので、作業効率が飛躍的に向上しました。ライスフレンドスーパーはある程度の規模が必要な設備ではありますが、生産性と品質の両面で大きな効果があり、導入を強く勧めたい設備です。
専務取締役 永田義博様:弊社では、学校給食の安全性を最優先に考え、異物混入防止にも徹底した体制を整えています。一般的に金属探知機を使用する企業も多い中、弊社ではより高精度な検査を可能にするX線検査装置を導入し、幅広い異物混入リスクに対応しています。検査工程では、担当者が神経を研ぎ澄まし、わずかな異常も見逃さないよう細心の注意を払っています。 また、浸漬米の充填や加水作業もすべて重量計測で管理。お米と水の比率を正確に計量することで炊き上がりの品質が安定し、作業員は安心して各工程に集中できます。こうした厳密な管理と技術の組み合わせにより、日々、安全で美味しいご飯を安定的に供給できる体制を維持しています。

最初のボタンひとつで全てのシステムが稼働

高精度な検査を可能にするX線検査装置
“学校給食を止めない”という使命感・責任感

万が一の時のために併設されているライスフレンドベーシック
― 永田パン様は、以前よりバックアップシステムとしてライスフレンドベーシックを設置しているのも特徴ですね。
代表取締役 永田昭一様:弊社では、ライスフレンドベーシックを導入した当初から、万が一の製造停止リスクを想定してバックアップシステムを構築してきました。具体的には、主力システムとは別にライスフレンドベーシックのシステムを併設し、主力システムに故障やトラブルが発生して稼働不能となった場合でも、米飯製造を継続できるよう備えています。実際、過去数回このバックアップシステムが稼働し、大きなトラブルを回避した事例もあります。また、赤飯など特別メニューを炊く際にも有効に活用しています。自動化設備は高い効率性と品質の安定をもたらしますが、弊社には常時技術者が駐在しているわけではなく、完全自動化の工程では人手で代替できない部分もあります。そのため、万一の際に迅速な復旧ができない可能性も考慮し、バックアップシステムの存在は不可欠です。学校給食を一日たりとも止められないという使命感と責任感のもと、私たちは常に安定した供給体制を維持しています。

自動反転ほぐし機


― 今後の目標を教えてください。
代表取締役 永田昭一様:弊社には、一般市場への販売を望む声もいただきますが、その対応で学校給食の製造がおろそかになることは絶対に避けたいと考えています。私たちは創業以来、学校給食専門として歩んできた企業として、その責務を全うすることが使命です。 その想いのもと、熊本県八代市南部エリアに共同炊飯工場を新設し、今年秋に完成予定です。新工場でも、美味しい米飯を子どもたちに届け、より多くの方にその美味しさを知っていただきたいと願っています。 現在の課題としては、炊飯後の「ほぐし」工程までは自動化できていますが、その後のバッドへの計量・盛り込み作業はまだ人手によるアナログ作業です。計量は経験と熟練を要する工程で、人員確保が不可欠です。ここを自動化できれば、省人化と効率化を大幅に進められると考え、今後の開発・導入を視野に入れています。 今後少子化が進むと言われる現代でも、学校給食がなくなることはありません。学校給食は子どもたちの健やかな成長を支える栄養の土台であり、食習慣の基盤でもあります。その大切な役割を担う私たちは、責任感と使命感を胸に、これからも変わらぬ品質と安全性で、美味しいご飯を子どもたちに届け続けてまいります。


[取材日] 2025年8月
■あとがき 「株式会社永田パン様は、1日3万〜4万5千食もの米飯を製造し、熊本市内の小中学校給食の大部分を支えています。長年にわたり学校給食に真摯に取り組む背景には、子どもたちの成長を願う強い想いと、将来を見据えた先見力があります。 また、炊飯工場から車で約10分の「フードパル熊本」では、市販用パンも製造。1日約3万個、200種類もの多彩なパンを、保存料を使わず安全・安心に提供しています。中でも、食物繊維豊富な「ふすまパン」は名物で、健康志向の方々から高い支持を得ています。施設内のレストランでは、焼きたてのパンをその場で楽しむことも可能です。熊本を訪れた際は、ぜひ立ち寄ってこだわりの美味しさをご堪能ください。
名 称:株式会社永田パン
所在地:[炊飯工場]〒861-5531 熊本県熊本市北区北迫町33-14